

たど屋芝兵衛、思わずハラハラと落涙しまして、
「つまらないことをいったばかりに、おまえにも迷惑をかけてすまない。
こんどわたしは打首だ。いや、身から出たサビだから仕方がない。因果な亭主をもった不運と、あきらめてくれ。
いい残すことがたった一つある。
お前の抱いている子が大きくなっても、
けっして、
いかの干したのをするめといわせるな」
うまいですな、むかしは控訴ってものができません。
なにかいい開きをしようとすると、「黙れッ」てんで、その罪に服さなきゃならない。
しかし、妻子への遺言ならさしつかえない。
この子が大きくなっても、いかの干したのをするめといわせるな。
なるほど、生でいか、干してするめと名前が変わりますが同じものです。
それなら、生でてれすこ、干して、すてれんきょうといってもいいではないか。
というわけで、ご奉行さま、小ひざを打って、
「たど屋芝兵衛、いいわけが相たった。本日無実い渡すぞ」
「無実、あ、ありがとうございます」
さあ、手の舞、足の踏みどころを忘れて喜びましたが、こりゃァ助かるわけ。
おかみさんが火もの(干物)断ちをしたんですから、あたりめの話でございます。
(古典落語大啓三一書房より)
「てれすこ」に匹敵する珍魚(“ばばぁ”、“とぎ”など)が時々ですが、店に並びます。
店の名がてれすこなのも、落語好き珍し物好きのおやじがつけたのだからうなづけるでしょうか?