落語「てれすこ」


「てれすこ」という落語の演目があります。
お店にいらっしゃるお客様によく「てれすこ」の言葉の意味を尋ねられますが、
この落語のてれすこからとったものです。

江戸落語の世界から「てれすこ」の意味をご紹介いたします。

落語「てれすこ」

―と、これを東京で「よし」と申します。
東京の「よし」が大阪へ行くと「あし」、同じものを「良し」と「悪し」というんですから、おかしなものですな。
土地が変わるってぇと品物の名がちがうもんです。
大阪でまぐろの刺身ったってわかりません。はつのつくりと申します。
河豚なんて魚は全国いたるところにございますが、それぞれ名前がちがいます。
九州へ行きますと、にごらにで「ふく」といいますが、大阪では「てつ」。
これは鉄砲って意味だそうで、当たったら死ぬというわけでしょうな。


これはむかしのお話で、ある漁場で名前のわからない魚が一匹とれまして、漁師がおおぜい集まりましたが、だれも知るものがおりません。
名なしの魚では、これから捕れた時困るだろう、お役人に聞いたらわかるだろうてんで、さげてまいりまして…

「お願い申します」
「なんじゃ」
「この村の漁師でございますが、本日漁をいたしますと、こげんな魚がとれまして、村じゅう相談ぶちやしたが、何ちゅう魚か、わからねぇで、年寄りのもんに聞いても『さあ知らんねぇ』てぇで、これから捕れた時に名前がわからなねぇじゃ困るから、お役人に聞いたらわかるべぇと、ぶるさげてきたでごぜぇます。
ちょくっら見てもれえてぇもんでごぜぇますが」

「ほう、しからば本日この沖合にて珍魚が捕れたか」
「金魚じゃねぇです。あれは赤くねぇから」
「金魚ではない、珍魚、めずらしき魚が捕れたかと聞いておるのじゃ。
どれ、こちらに見せろ」

手にとって見たがわかりません。
そうでしょう、専門家の漁師にわからないんですから、お役人にわかるわけがない。
調べておく、と漁師を引きとらせまして、おおぜい相談の末に、この魚の姿をそっくり紙にうつしとりまして、辻々に貼り出しました。

「このたび、沖合にて、かようなる珍魚が捕れた。その名前を存じおるものは、役宅まで申し出よ。褒美として百両金つかわす」


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